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ロシア連邦における国家権力濫用に関する白書

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ロシア連邦における国家権力濫用に関する白書
ミハイル・ホドルコフスキーに対する政治的動機に基づく起訴

エグゼクティブ・サマリー【要旨】

2003年春、プーチン政権は、活気のある市民社会とエネルギー部門における市場原理に基づく競争を支持するミハイル・ホドルコフスキー氏の政治的見解及び活動がクレムリンのイデオロギーおよび政治目的と相容れないと判断。クレムリンはホドルコフスキー氏をシベリア・チタ州の刑務所に投獄するため、同氏を逮捕、裁判、捏造された容疑に対する過度の刑罰を科した。また、ホドルコフスキー氏が社長を務めるロシアの石油会社大手ユコス社の資産を国家管理下に差し押さえるため、捏造された法外な課税査定を用いた。

さらにプーチン政権は、正当性、ロシア法における合法性、犯罪行為に対する処罰のいずれにも全く当てはまらない以下の政治的目的のためにホドルコフスキー氏を新たに告発した:

* 現行のロシア法と慣行に従えば、ホドルコフスキー氏は2007年10月に釈放されるはずであるが、氏を釈放しないようにするため。

* ロシアの政治的将来を形成する、また現行のロシアの国家路線に反する積極的な役割を果たす機会をホドルコフスキー氏に与えないようにするため。

* ホドルコフスキー氏に対する過去の国家活動を正当化するため。

* 330億ドルに上るユコス社の残余資産に対して、ロシアの国有企業が実施しようとしている一連の詐欺まがいの取得を正当化するため。

* ホドルコフスキー氏が海外に保有していると思われる残余資産を没収しようとする行為を、氏がマネーロンダリングを行ったという理由により正当化するため。

2003年に逮捕されるまで、ホドルコフスキー氏は国民による政治参加を通じた民主主義国家の実現への支持を表明し、民主化要求活動を支援してきた。プーチン政権が同氏に対する政治的弾圧を加えはじめていることが表面化する中でさえ、ホドルコフスキー氏は民主化要求のための戦う姿勢を貫き、自らの政治姿勢を変えなかった。

ホドルコフスキー氏は、ロシア社会が民主主義国家に進歩すること、また市場原理に基づく経済体制の実現を望んできた。またロシア石油会社大手の社長として、国家が独占してきた産業を民間企業に開放することによりロシア経済の世界経済への統合を唱え、民間投資による新しい石油パイプラインの建設、中国と米国へのエネルギー輸出の促進、市場の自由化による産業分野の国家独占の排除、西側流の標準的なコーポレートガバナンスの採用、国際的石油企業による投資拡大オフショアを通じた生産の増大といった構想を打ち出してきた。また、ホドルコフスキー氏は経済復興の過程で生み出された国家腐敗の蔓延を一掃の必要性についても公の場で表明してきた。同氏のこれらの政治的見解はクレムリンの政策と衝突する結果となり、ホドロフスキー氏に対する政治的弾圧につながった。このホドルコフスキー氏への政治的弾圧は、ロシアが民主主義ではなく権威主義へ、自由化ではなく独裁化へ、正義ではなく単に腐敗を法的虚構によって覆い隠そうとする方向へ向かっていることを表面化している出来事である。
ホドルコフスキー氏に対する新たな告発は、不当な制度のもとですら誤審であるとしかいいようがない。そのような法制度を掌握している人々が物質的にも個人的にも同氏の有罪判決を望む環境において、ホドルコフスキー氏が公正な裁判を受けられる保証は全くといってない。

ホドルコフスキー氏の逮捕、ユコス社の解体及び国有化をそれぞれ別案件として捉えるのではなく、「垂直統合権力」を通して競合する政敵および分権化の根絶といったプーチン大統領の下での「管理された民主制」という政治目的を達成させようとする極めて重要な出来事として捉える必要がある。この政治的方針を実現するためクレムリンは以下の措置をとった:

* シラヴィキと呼ばれる旧KGB、検察、警察等の省庁関係者に権力を集中させ、ロシア経済を市場ベースで改革しようという動きを排除。

* ロシアにおける民主主義、人権、法の支配の後退。

* 国内および国外投資家が有するエネルギー資産を継続的に接収するために法制度を手段として利用。

* エネルギー資産を操作して近隣諸国および欧州に対してロシアの国家権力を行使すると同時に、主な競合国に対してエネルギー外交の影響力をさらに行使するために核および軍事技術を無差別に輸出することによる国際安全保障の不安定化。

以上のことからも明らかなように、現在行われているホドルコフスキー氏に対する政治的迫害、ユコス社の国有化、プーチン政権下における「管理された民主制」という政治目的の達成は、国際社会にとって大きな意味を成している。それは、全ての民主主義国家の国家安全保障、エネルギー安全保障、政治的安定を脅かすものである。

ホドルコフスキー氏を起訴した人々は、現代史における最大の窃盗ともいえるユコス社の奪取を見渡してきた。彼らは世界のエネルギー市場を不安定化させ、エネルギー最大手企業数社をゆすり、政界実力者たちを取り込み、彼らの行動は概ね共謀と沈黙をもって迎えられた。彼らはロシアを財産権が政治的に左右され、ジャーナリストや改革者に対する契約殺人が横行する国家に変貌させたのであり、こうした慣行は、最近、明らかに表面化してきている。この白書は、一人の人間が権力に対し勇敢に立ち向かったホドルコフスキー氏の運命を取り上げる 。

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